マグロやエビ、錦糸卵のちらし寿司も素敵ですが、この季節にいただくなら春の素材をたっぷり盛り込みたいもの。
ツヤツヤのサヤエンドウ、掘りたての新タケノコ、桜色に輝く小ぶりの桜鯛などを、彩りの良いお寿司にしてはいかがでしょうか。
旬の食材は、冬なら冷えた体を温め夏なら体にこもった熱を取り除いてくれるといったように、その時期に起こりやすい体調不良を整え、季節に合った体づくりをサポートしてくれます。栄養分も時期外れのものとは段違いなのです。
大皿や寿司桶に酢飯を盛り込んで飾るちらし寿司も、彩り美しくごちそう感がありますが、今回は目先を変えて押し寿司や手毬寿司を。難しそうに見えますが、ラップを使えば簡単で手間いらず。特別な道具も必要ありません。
手毬ずしは、酢飯を一般的な握り寿司の半分ほどの大きさにとり、ラップで包んで丸く形を整えます。ラップを外したら、薄くスライスした鯛の刺身やゆでタケノコをのせてくるり。木の芽や白胡麻をしのばせたりトッピングすれば、さらに彩りよく季節を感じさせる仕上がりに。

撮影「Takashi Maki」
押し寿司も、押し寿司の型を用意する必要はありません。
密閉容器にラップを敷いて酢飯を詰め、さらに具材をのせて最後はラップで包みます。その上から重石で押しましょう。
きれいに作るコツは容器の四隅にきちんと酢飯を詰めること。またおいしく仕上げるには、鯛の刺身をパックから出してそのまま使うのではなく、ひと塩振ってしばらく馴染ませ、余計な水分をキッチンペーパーで吸い取ってから使うこと。このひと手間で、ギュッと身が締まり旨味が増します。
しばらく重石をラップを外し、そのままお皿にのせればホールケーキのように華やか。ラップごと小分けに切ってからラップを外し、銘々皿に盛り込めば洗練された印象です。

撮影「Takashi Maki」
ちょうど今、旬を迎えるハマグリや新わかめのお吸い物と合わせれば、それだけで少し特別感のある食卓に。
旬の食材で体調を整えて邪を払い、運を開いていきましょう。
好きが高じて食をテーマに20余年、食べては書く日々を送るライター・エディター。