「米ぬか」は一概に悪いものではなく、むしろパワーの源だった!

「米ぬか」は一概に悪いものではなく、むしろパワーの源だった!

今回は「米ぬか」を有効活用するメーカー・築野食品工業の取り組み、SDGsへの思いを聞きます。


築野食品工業が目指す「持続可能な社会の実現」への取り組みは、なんと75年前から実施していたとのこと

前回の「BG無洗米コンソーシアム」の記事では「米ぬか=環境に悪影響を及ぼす」といった印象があったかもしれません。しかし、必ずしも悪いわけではなく、むしろ栄養成分がたっぷりあるため、有効活用することで様々な製品に転じることができる「パワーの源」でもあります。
今回はこの「米ぬか」を活用しながらBtoBを中心に事業を展開する築野食品工業をご紹介します。お話をしてくださったのは同社・経営企画部の築野靖子さんです。それではいってみましょう!

築野食品工業・経営企画部の築野靖子さん。専門的でやや難しい「米ぬか」のお話をわかりやすく解説してくださいました。

今から75年前、「米ぬか」を元にサステナブルな事業を始めた築野食品工業

――まず、築野食品工業の概要からお聞かせください。

築野靖子さん(以下、築野) 1947年に精麦事業からスタートし、今日に至りますが、創業当初から「米ぬか」を徹底的に研究し、高度な有効活用を図ってきました。今日、大きく分けると、「こめ油製造事業」「ファインケミカル事業」「オレオケミカル事業」といった3つの事業を展開していますが、弊社の中心はBtoBですので、あまり社名は知られていないかもしれません。

ただ、こめ油はもちろん、ジュース、化粧品、栄養ドリンク、育児用の粉ミルク、医薬品、そして塗料などにも弊社の原料を使っていただいていますので、実は皆さまの身近なところで弊社が関わる商品があると思います。


――いずれにしても、「米ぬか」がベースなんですね。

築野 はい。原料の出発点は「米ぬか」「米胚芽」です。普段口にする白米以外の部分を使っています。このことから言えることは「SDGs」という言葉が出始める以前から、弊社はずっとサステナブルな事業をやってきたということです。


築野食品工業はカーボンニュートラルといった最たる目標はもちろん、様々な項目で「SDGs」にリンクするサステナブルなメーカーです

築野食品工業は「米ぬかの高度有効活用」として、「こめ油製造事業」「ファインケミカル事業」「オレオケミカル事業」の3本柱の事業を行っています

「米ぬか」は、水道水に流すと生態系に影響を及ぼすほどの、栄養成分たっぷりの素材だった

――前回このコーナーでご紹介した「BG無洗米コンソーシアム」の事例で言うと、「米ぬか」「肌ぬか」を丁寧に取り除くことでSDGsに対応しているとのことでした。これを勝手に解釈すると、「米ぬか=環境に悪いもの」という捉える人もいそうですが、そういうわけではないんですよね。

築野 はい。無洗米などで「米ぬか」を取り除くことで環境に配慮しているということは間違いありませんが、かと言って「米ぬか」自体が悪いものというわけではありません。

むしろ栄養成分がたくさんあるのが「米ぬか」です。これを水道水に流すと、富栄養化につながる可能性があるので、環境に良くないということだと思います。

「米ぬか」の中にはリンという植物の必須の栄養素が含まれています。実は肥料に欠かせないリンですが、それが川に流れ、海に流れると、リンの栄養素が多すぎてしまうことで、植物プランクトンが食べて赤潮が発生するなどがあり、結果的に生態系が壊れてしまうという環境問題があります。

これだけ「米ぬか」には栄養素があるのですが、弊社で行っているのは、こういった「米ぬか」の力を高度有効活用し、製品化するといったことです。また、前述の肥料で使用されるリンは輸入の鉱物由来のものが多いのですが、弊社では日本の土壌が育てた「米ぬか」のリンを肥料にするなどをしており「国内で吸い上げたものを、国内に返す」という意味で、循環型の事業を行っていると考えています。

「米ぬか」を使った開発は、開発時点では「用途」がわからない?

――しかし、前述の「こめ油製造事業」「ファインケミカル事業」「オレオケミカル事業」のいずれも、前例のないものだったり、相当な知見がないと取り組めない事業ですよね。「米ぬか」の栄養素を、なんらかの製品化するに際しては、相当なご苦労があるのではないかと思います。

築野 そうですね。弊社は「米ぬか」由来の成分にこだわり開発をしていますが、だいたいが「この開発は、世の中にニーズがあるものだろうか」「世の中に受け入れてもらえるのだろうか」という状態から取り組んでいるため、ここは難しいところだと思っています。

――具体的にはどういった開発フローになるのでしょうか。

築野 まず最初に膨大な金額を投資し、プラントで開発をしながら、「これを作れるようになったら、どんな『用途』があるのだろうか」といった「用途開発」も行います。

例えば、イノシトールという「米ぬか」由来の物質は、かつては粉ミルク、栄養ドリンクなどの原料としての用途がメインでした。一方、当社では「用途開発」として化粧品用のデータをとり、化粧品としての使い道があることを広め実現しております。

もちろん、細胞レベルの物質の機能性も確認しています。

築野食品工業の「こめ油製造事業」

築野食品工業の「ファインケミカル事業」

築野食品工業の「オレオケミカル事業」

BtoBだけでなく築野食品工業オリジナルのブランド展開も!

――また、近年ではBtoBだけでなく築野食品工業のオリジナルブランドでの商品展開も行われていますね。

築野 こめ油はもちろん、化粧品、米粉を使ったグルテンフリーのお菓子などですね。

築野食品工業の「こめ油」

築野食品工業のブランド「イナホ」による化粧品

築野食品工業のブランド「come×come」によるグルテンフリーのお菓子

築野 いずれの商品も長年、「米ぬか」の成分の研究をし続ける当社が、「米ぬか」から抽出した成分を様々な商品に転じて、その成分の良さをできる限りお伝えしたいと思い展開しているものです。「お米の活用」を広げていく活動の一環でもありますが、こういった取り組みにより、これまで以上に「米ぬか」の力を知っていただけると嬉しいですね。

――「SDGs」が叫ばれる今ですが、今回のお話で、築野食品工業の事業内容がズバリ「おこめとSDGs」だと思いました。

築野 ありがとうございます。弊社では「お米の成分」「米ぬかの成分」をとことん使いこなすことを目標にしています。今後も開発事業の向上はもちろんですが、弊社のサステナブルな事業をもっと広く知っていただきたいとも考えています。このことから「共感いただける方々にもっともっとアプローチしていかなければ」と思っています。「お米」「米ぬか」を今一度見直していただき、この良さをお伝えしていきたいと思っています。

築野食品工業が掲げる「三方良し」の循環の図

本文では触れませんでしたが、日本人なら誰でも口にしたことがある食品、誰でも使ったことがある製品などにも築野食品工業の製品が取り入られていることがわかりました。いずれも「お米」または「米ぬか」由来のものです。日本人にとって欠かすことができない主食・お米を余すことなく高度な有効活用を行い、なおかつ消費者・生産者・環境の三方にも良いという築野食品工業の取り組み、今後もさらに注目したいと思いました。

この記事のライター

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・decoを設立。出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタメ、音楽、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある

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