おこめ業界の連合体によってSDGsに取り組む「BG無洗米コンソーシアム」とは何か?

おこめ業界の連合体によってSDGsに取り組む「BG無洗米コンソーシアム」とは何か?

今回は東洋ライスが開発した無洗米を発端にして生まれた「BG無洗米コンソーシアム」の取り組みをご紹介します


2019年に新聞一面に掲げられた「BG無洗米コンソーシアム」の広告

前回、東洋ライス・代表取締役の雜賀慶二さんのお話を紹介しましたが、ここで出た無洗米は環境面に大きく貢献できることで、世界的な評価を得ているほか、日本のおこめ業界全体にも派生。現在は「BG無洗米コンソーシアム」というおこめ業界の連合体もでき、各社とも無洗米によって、環境保全に取り組むことを目指しています。
まさに業界全体でSDGsに取り組んでいる好例と言って良いと思いますが、この「BG無洗米コンソーシアム」を牽引するのもまた東洋ライスです。今回は「BG無洗米コンソーシアム」について、同社の企画広報部・関博行さんに話を聞きました。

「BG無洗米コンソーシアム」に参加している企業のおこめの多くには、このようなマークがつけられています

「BG無洗米コンソーシアム」は、おこめ業界各社が連動する環境へ配慮した取り組みだった!

――前回、東洋ライス・代表取締役の雜賀慶二さんのお話をお聞きしましたが、この「BG無洗米コンソーシアム」もまた東洋ライスが牽引しているようですね。

関博行さん(以下、関) 2015年に、東洋ライスが環境省からエコ・ファースト企業に選ばれました。無洗米を普及させたことで、CO2やヘドロの削減に貢献したという理由でしたが、弊社は無洗米に精米する機械を、全国53にもおよぶおこめの卸しさんや外食企業さんに貸し出しています。弊社でも無洗米の製造・販売は行っていますけれど、市場での無洗米の浸透で言うと、こういった53にもおよぶ企業さんのお力が圧倒的に大きく、むしろ弊社がエコ・ファースト企業に選ばれたのは、こういった各社さんのご協力あってこそのことだと思っています。

こういった背景から、同年に「無洗米未来サミット」というイベントを開催しました。業界各社さん、一般消費者の方も含めて皆さまにご参加いただき、「無洗米をもっと広く知ってもらおう」という試みになりましたが、ここでご参加くださった方たちを総称して「BG無洗米コンソーシアム」と名付けることに至りました。


――まさに無洗米を広める連合体のようなものですね。

関 はい。各社さんとも「BG無洗米」を通して環境への貢献を目指しています。

おこめ業界全体で取り組む「BG無洗米コンソーシアム」。2019年には「最大のサスティナブルフードレッスン」というテーマでギネス世界記録も達成しました

無洗米とは、肌ヌカを丁寧に取り除いたおこめ

――そもそも無洗米とはどのようにして精米されるものなのでしょうか。

関 下はおこめの拡大図ですが、左の普通米には、表面に「肌ヌカ」という粘着性のあるものが残っています。この肌ヌカを取らないでおこめを炊くこともできますが、ヌカ臭かったり、ボソボソした食感になってしまいます。そういう理由から先人の知恵で「研ぎ洗い」という慣習が生まれました。

普通米とBG無洗米の違い。ちなみに「BG」とは「Bran(ヌカ)」と「Grind(削る)」の頭文字を取ったもので、まさに「ヌカでヌカを取った無洗米」ということを示します

 BG無洗米は表面にあるこの肌ヌカだけを取り去ったものを指します。さらにおこめを拡大した図が下のものですが、おこめの細胞壁というのは、このように蜂の巣状になっています。

蜂の巣状のおこめの細胞壁

関 この蜂の巣状の細胞壁の穴の中に、肌ヌカが入り込んでいるイメージです。なので、いくら表面を削ったとしても、詰まっている状態の上側から押したり、蜂の巣状の層をただ削るだけとなり、肝心の肌ヌカを除去することにはなりません。そのため、私たちのBG無洗米では、この肌ヌカの粘着力を利用しながら、上から肌ヌカだけをキュポンッと、取っているようなイメージです。

普通米が環境におよぼす悪影響とは?

――ここで素人にはやや難しいのが「どうして無洗米が環境に良いのか」という点です。確かに「おこめのとぎ汁を出さない」「水の量を減らすことができる」といった点で、環境に良いことはわかるのですが、そのことが環境面に良い影響をおよぼす点が、ややわかりにくくもあります。

関 おっしゃる通りです。普通のおこめのとぎ汁の肌ヌカの中に含まれるものにリンやチッ素というものがあります。これが排水で流れると、川や海で植物性のプランクトンがそれをエサにすることで異常発生して、赤潮になったり、閉鎖性水域ですと青粉になったり、さらにプランクトンの死骸が沈殿してヘドロになります。

特におこめのとぎ汁というのは、毎日各家庭から出されるものですから、その量も膨大です。こういった問題から、肌ヌカを出さないようにしたのが無洗米であり、環境に大きく貢献していると自負しています。

BG無洗米が普及したことで、これだけの環境汚染物の削減に!

関 他方、肌ヌカにはメリットもあって、たとえば地上の土に撒いたりすると、微生物が増えて食物がよく育つものなんです。

この肌ヌカの持つ効果を扱いやすく再生させたものが「米の精」という有機質資材で、これもBG無洗米ならではの取り組みです。つまり、BG無洗米そのものは、とぎ汁を出さず、肌ヌカを排出させないものですが、一方で肌ヌカの再生利用も行い、循環型農業の取り組みとなっているということです。

BG無洗米コンソーシアムが実現している循環型農業のフロー図

BG無洗米の副産物「米の精」を使った体験型環境教育推進プログラム「いきものみっけファーム」の様子

おこめ本来の効果を生かして、多くの人々の健康に寄与したい!

――確かにこうやって説明していただくと、BG無洗米がいかに環境改善に貢献しているものなのかがわかりました。SDGsにまさに合致する試みですね。

関 無洗米を弊社が開発した1991年は、SDGsのような概念の誕生を見越しての取り組みというわけではありません。ただし、環境に対する配慮には常に目を向けた開発は行ってきており、この点は胸を張れます。

――これまでの東洋ライスの流れで言うと、このBG無洗米コンソーシアムなど以外にもSDGsを見据えた取り組みを準備されているのではないでしょうか。

 「おこめによって人々の健康増進を目指すとともに、ひいては国の医療費全体を下げる」というものが一つあります。

おこめというのはもともと、粳米(こうべい)と呼ばれる医食同源の食べ物でした。ところが、精米技術が進み「白いおこめのほうが綺麗で美味しく見える」という理由から言わば「精米し過ぎ」のおこめばかりが出回っているという問題があります。

この問題を回避するために、弊社では金芽米やロウカット玄米といった独自開発の無洗米商品を販売しているのですが、こういったおこめを普及させ、多くの人々の健康にもっともっと寄与していきたいと考えています。このことで、現状では40兆円とも言われる日本の医療費を下げることができると考えています。

これも一つのSDGsの理念に通ずるものだと思っており、今後さらに注力していきたいと思っています。BG無洗米コンソーシアムと合わせて、今後の弊社の取り組みにもぜひご注目いただければ幸いです。

無洗米がいかに環境に良いものであるかがよくわかりました。また、BG無洗米コンソーシアムでの取り組みに加え、東洋ライスが目指す人々の健康に貢献するさらなる取り組みも興味深く聞きました。「おこめとSDGs」という意味において、模範的かつ影響力が大きいこれらの取り組み、今後も注目していきましょう。

この記事のライター

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・decoを設立。出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタメ、音楽、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある

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