【長月九月の開運ごはん】重陽の節句の菊花粥

【長月九月の開運ごはん】重陽の節句の菊花粥

晴れた日中こそ暑いものの、いつしか蝉の声も遠のいて、朝夕が過ごしやすくなってきました。暦の上では立秋を過ぎて季節はもう秋。早いところでは稲穂が色づき始めています。


撮影「Takashi Maki」

秋になると咲き誇る菊は、古代中国では仙境に咲くといわれ、邪気を祓って若さと長寿をもたらすとされました。また古代中国では、奇数が縁起が良い数字=陽数とされ、陽数の最大数である「9」が重なる「9月9日」を「重陽」の節句と呼んで、仙境の花・菊を用いて長寿を願ったとか。

これが日本に伝わって平安時代の宮中行事となり、前夜から菊の蕾に綿を被せて夜露と香りを染み込ませた「被綿(きせわた)」で身を拭って、若さや健康を願ったと言います。菊酒や菊湯、菊枕も、被綿と同じように邪をはらい無病息災をもたらす力があるとされたといいます。
忙しい現代に生きる私たちにとって、こうした菊のフルコースを実行するのは大変。しかし菊の花を食事の中にとり入れることは、それほど難しいことではありません。大きなスーパーなどでは、秋になると食用菊が摘み取った状態で並びます。

撮影「Takashi Maki」

花びらをガクから外し、サッと湯通ししておひたしや酢の物にすれば、秋らしい一品が出来上がります。昆布出汁をきかせた甘酢であえた菊花は、キノコや枝豆、銀杏などと酢飯に合わせれば秋らしいちらし寿司に。もっと手軽に楽しみたいなら、昆布出汁で炊いた白粥にそっと添えてみてはいかがでしょう。
あたたかく消化に良いおかゆは菊花とともに、夏のダメージをひきずる体をやさしく労ってくれるはずです。

撮影「Takashi Maki」

この記事のライター

好きが高じて食をテーマに20余年、食べては書く日々を送るライター・エディター。

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