お米ではなく「米袋」のSDGs的取り組み。米袋を再利用しバッグや文具に製品化!

お米ではなく「米袋」のSDGs的取り組み。米袋を再利用しバッグや文具に製品化!

廃棄米の再利用などの取り組みや、米生産・流通メーカーによるSDGs的な実践が増えています。そんな中で、日本屈指の米どころ・新潟県南魚沼市では、お米ではなく「米袋」の再利用に特化した取り組みを行う団体「m.u.k Lab(南魚沼米袋研究所)」があります。今回はこちらに参加しているNPO法人にお話を伺いました。


米袋の利点を活かし、かわいくて面白いバッグに転じ商品化するm.u.k Lab(南魚沼米袋研究所)によるアイテム群

廃棄米の再利用などの取り組みや、米生産・流通メーカーによるSDGs的な実践が増えています。そんな中で、日本屈指の米どころ・新潟県南魚沼市では、お米ではなく「米袋」の再利用に特化した取り組みを行う団体があります。「m.u.k Lab(南魚沼米袋研究所)」というコミュニティで農家、飲食店、作家などが集まる団体です。特にネットなどで注目を浴びているのが、この団体が展開している「米袋バッグ」です。

「米袋バッグ 大(布付き)」(税込2500円・m.u.k Lab)

「米袋」の素材の耐久性と、単色刷りと素朴でありながら力強いグラフィックがかわいらしく、地元・新潟県だけでなく全国各地から注目を集めているようです。

今回はこのm.u.k Lab(南魚沼米袋研究所)に参加し、米袋バッグの制作を行っているNPO法人みんなの庭の代表理事・川島亜紀子さんにこれらの取り組みをお聞きしました。

NPO法人みんなの庭・代表理事の川島亜希子さん。南魚沼市出身で、神奈川県の短大にて栄養学を修めた後、地元に戻り保育園の調理師として就職。親子で楽しめるイベントのサークルを主催し、活動をNPO法人として事業化しないかと市から勧められみんなの庭を設立されたそうです

2つの団体の思いが合致して始まった「米袋」バッグ作り

ーーNPO法人みんなの庭と、m.u.k Lab(南魚沼米袋研究所)の成り立ち、関わりからお聞かせください。

川島亜紀子さん(以下、川島) 一番最初は、私の子どもがまだ小さかった頃、地元の南魚沼でお母さん同士の交流を深めるための「子育てサークルをやりましょう」というところからスタートしました。その後、2014年にNPO化し、サロンを作ったり、物づくり講座をやったりしながら様々なお母さん同士の交流を図っていたのですが、そのうち「子どもを見ながら、同時にお家で内職になるような仕事がしたい」という声が上がりました。

一方、同じ頃に南魚沼でm.u.k Lab(南魚沼米袋研究所)という「米袋」の再利用を考えるコミュニティが立ち上がり、試しにある方が「米袋」をバッグにしたんですね。そしたら「これは面白い」と。「これを子育てのお母さんたちが作ることができたら、内職にもなるし、環境にも優しくて良いのではないか」という話になり、m.u.k Lab(南魚沼米袋研究所)に私たちも参加させていただくことになったという流れです。

一般消費者は意外と知らない「米袋」ならではの制限とは?

――南魚沼地域における「米袋」にはどんな問題があったのでしょうか。

川島 南魚沼の「米袋」は実に耐久性のある優れた素材を使われているのですが、一度使ってしまうと、もう一度お米を入れて販売するということができませんでした。


――衛生的な問題ですか?

川島 というより、「米袋」には「新潟米」「魚沼米」と書いてあるけれども、偽ってよその米を入れて販売するということも考えらます。このため、一度使った「米袋」は、それだけで終わり。結局農家さんたちは、使い終わった「米袋」の中に野菜を入れて保管をするくらいしか活用法がなかった。さらに、ゴミとして捨てる場合でも、普通の再生紙とは別に梱包をして捨てなければならないという問題があったそうです。

一方で、地元で慣れ親しんでいる私は特に感じなかったことですが、よそから来られた方からは「米袋のデザインがかわいい」「色んなデザインがあって面白い」といった声を聞くことがあり、今やっているような「米袋」バッグへの再利用につながったという経緯がありました。

実は相応の使用条件があった、南魚沼の「米袋 (30kg用)」

「米袋」は3枚の紙が重ねられて出来ている

――「再生紙とは別に梱包して廃棄」と言われましたが、「米袋」の素材にはどんなものが使われているのでしょうか。

川島 普通の紙と違い、「米袋」自体は3枚の茶色の紙を重ねてできています。このため、破れにくく耐水性があるんですね。実際に「米袋」バッグを買ってくださった方の中からは「1年以上、毎日エコバッグとして使っているけど、破れない」といった声もいただきました。それだけ丈夫な紙です。

――この「米袋」を使った商品はバッグを含め様々なものがありますね。

川島 はい。一番人気があるのは、大きいサイズで、真ん中にドーンとデザインがきているものです。また、小ぶりなもの、ポーチなども男女問わず人気があります。小物やお化粧品、スマートフォンの関連グッズを入れて使う方もいらっしゃるようです。

「米袋バッグ 小」(税込1000円・m.u.k Lab)

「米袋ポーチ」(税込1500円・m.u.k Lab)

地元の人たちが助け合って作られた「米袋」商品群

ーー一方、バッグ類だけでなく、文具にも「米袋」が再利用されています。

川島 手帳やノート、封筒、ぽち袋」などがあります。

写真左から「米袋手帳(米袋)」(税込1000円・m.u.k Lab)、「ぽちKOME袋」(税込200円・m.u.k Lab)、「KOME封筒」(税込400円・m.u.k Lab)

川島 手帳は私たちみんなの庭が作っているわけではなく、南魚沼在住の作家さんが作られているものです。特に「米袋手帳(米袋)」という商品は中面にも茶色い米袋の素材をノートに生かしているのですが、「『米袋』のシワを伸ばす作業が大変だ」と聞いています。ただ、茶色いノートですので、白いペンなどでも書けることで普段使いのメモ帳というより、大切に残しておきたいものを書く人が多いようです。

また、ぽち袋や封筒は、南魚沼市内の高等支援学校の生徒さんに職業訓練の一環として制作していただいています。どうしてもバッグなどに転じる際に、無駄になってしまう部分があるため、それをぽち袋や封筒に転じています。

――全て手作りですので、いずれも同じ商品は二つとないわけですよね。

川島 はい。バッグもそうですが、一つ一つ「米袋」のデザインが異なったり、中の布、ミシンの糸を変えたりしているため同じ商品はありません。ネットで購入される方にはランダムでお届けさせていただいていますが、イベントなどで販売時は、皆さん楽しみながら選ばれていますよ。

南魚沼が抱える2つの問題とは?

――南魚沼は日本屈指の米どころとして知られていますが、現在環境面で抱えている問題、改善すべき点などはどのようなことが挙げられるでしょうか。

川島 あくまでも個人的に思うことですが、大きく分けて2点あります。

1つは地球温暖化によって、毎年の積雪量が減ってきていること。南魚沼は「日本一雪が積もる」と言われており、特に今年は大雪で高速道路もストップしてしまうほどでした。しかし、その前年はと言うと、逆に積雪が少なく、スキー場が運営することができないほどでした。雪の量が少ないと、山に積もる雪も減り、合わせて雪解けの水が減ります。この水が減ってしまうと、田んぼの稲の生育にも影響し、収穫量はもちろん味にも大きな変化を及ぼします。これまで「南魚沼のお米が日本一だ」という評価を受けていましたが、特A値ではなくなったりと、変化が生まれてきてしまっています。これは良くないことです。

もう1つは、私自身もそうですが、パン食が増えてお米を食べなくなってきている人が増えていること。そうすると、農家さんたちも供給量が減ってしまいます。

この2つが私が考える問題なのですが、「米袋」を再利用する一環で、「お米をたくさん食べて、米袋を空にしてくださいね」というような宣伝活動も行っています。こういったことが刺激に繋がり、南魚沼だけでなく、全国的にもお米たくさん食べてもらえると良いなと考えています。

当初は意識していなかったSDGsだが、結果的に環境問題の改善に

ーー「米袋」の再利用商品を始めたのは7年前とお聞きしています。7年前はまだSDGsといったキーワードもなかったと思いますが、みんなの庭・m.u.k Lab(南魚沼米袋研究所)の取り組みは結果的にSDGs的であると思いますが、いかがでしょうか。

川島 おっしゃる通り、始めた当初はSDGsという言葉も知らなかったですし、これが環境問題の改善に繋がるという思いは正直希薄でした。あくまでも「『米袋』のデザインが面白い」「これを捨てちゃうのはもったいない」という思いでしたので。しかし、後になって考えてみると、これらの取り組みが環境問題の解決に、ささやかでもつながっているのかなと思うようにもなりました。

地元の人たちの様々な繋がり、取り組みが結果的に環境にも優しいものになるのは本当に良いことだと思います。これからも南魚沼という地域の中で、「米袋」をきっかけに合理的で環境に優しく、いつまでも美味しいお米を食べ続けられることにつながる取り組みを行っていければ良いなと考えています。

イベントで販売される様子。新潟県内には常時購入できるお店が複数あるそうです

SDGsや環境の話題となると、つい肩肘を張ってしまいがちですが、みんなの庭・m.u.k Lab(南魚沼米袋研究所)の取り組みは「身近な仲間たちと、身近にある問題を解決する」という肩肘を張らない好例のように思いました。

これら「米袋」を再利用した商品は通信販売で購入することができます。見た目も楽しいですが、実際に手にしてみると、その質感もまた楽しく、先人の「お米を大切に運搬する」思いも伝わってきます。是非チェックしてみてください!

m.u.k Lab 南魚沼米袋研究所

https://minna-niwa.stores.jp/

お米を食べてしまうといらなくなる紙の米袋。 重いお米を入れても破れたりしないように とても丈夫にできています。 その米袋を再利用して何かできないか? そんな思いからこの米袋プロジェクト「m.u.k Lab」は始まりました。 可愛かったり、楽しかったり、面白かったり・・・ そんなものを発信していけたらとお持っています。 <年末年始のお知らせ> 2020年12月25日~2021年1月7日まで年末年始休業とさせていただきます。 この間にいただきましたお問い合わせ、ご注文につきましては 2021年1月8日より順次ご対応いたします。 【Facebook】https://www.facebook.com/m.u.k.lab.komebukuro 【Instagram】https://www.instagram.com/muk.lab/

この記事のライター

音楽事務所、出版社勤務などを経て2001年よりフリーランス。2003年に編集プロダクション・decoを設立。出版物(雑誌・書籍)、WEBメディアなど多くの媒体の編集・執筆にたずさわる。エンタメ、音楽、カルチャー、 乗り物、飲食、料理、企業・商品の変遷、台湾などに詳しい。台湾に関する著書に『パワースポット・オブ・台湾』(玄光社)、 『台北以外の台湾ガイド』(亜紀書房)、『台湾迷路案内』(オークラ出版)などがある

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