撮影「Takashi Maki」
もともと「土用」は5行に基づく雑節のひとつで、立夏、立秋、立冬、立春の直前それぞれ18日間を指し、季節の変わり目と言われてきました。春夏秋冬いずれの土用も、体調が不安定になりがちですが、特に夏の土曜は暑さに慣れず大きく体調を崩しがち。そこで、難避け厄除けに滋養のつく食べ物や体を労る食べ物をとる習わしがありました。
その代表格と言えるのが鰻。こんがり焼き上げた蒲焼を炊きたてごはんに乗せてタレをかけ回した鰻丼や鰻重は想像するだけで食欲が湧いてきます。ビタミンAやビタミンB群などを豊富に含み、疲労回復にも期待大。今も土用丑の日を前に専門店からスーパーコンビニまで鰻一色に染まるほど、皆が大好きな季節の風物詩となっています。
撮影「Takashi Maki」
一方で「鰻は圧が強すぎて…」と夏の鰻に苦手意識を持つ人がいるのも事実。早くも夏バテで食欲を失っている人、もともと食の細い人にとって、コッテリ脂の乗った鰻はインパクトが大きすぎるのかもしれません。
夏の暑さで弱った胃腸を労るならば、古くから土用に良いとされている「う」のつく食べ物を。クエン酸回路が疲労回復に効く梅干し、喉越しが良く食欲減退時も食べやすいうどん、体に溜まった熱や余分な水分をとり去る瓜類などがおすすめです。
いずれも弱った胃腸を休めて体力を緩やかに回復させ、熱暑を乗り切る力をくれるはずです。

撮影「Takashi Maki」
好きが高じて食をテーマに20余年、食べては書く日々を送るライター・エディター。