有色米は神様に捧げるお米だった。

左:赤米 右:黒米
米の皮が赤や濃い紫の色がついたお米を有色米と呼びます。
赤米はタンニン系、黒米や紫黒米はアントシアニン系の色素を含んでいるため玄米の色が普通のお米とは違って見えます。野生のイネの多くは米粒が赤いので赤米は現在のお米のルーツになっていると考えられています。
赤米で炊いたごはんは赤飯の起源だという説もありますし、黒米はおはぎの材料とも考えられますから、赤米や黒米はずっと昔から祝い事や神事の時に食べられていたという話もなるほどと思えます。
さらにいにしえの日本では有色米が栽培されていたという説もあり、こうしたことから有色米は古代米と呼ばれることもあります。普通に食べる白米とはひと味違う神聖なお米が有色米のご先祖だったのです。

巨大アートにもなる有色米
緑の田んぼに黒い絵の具で絵を描いたような巨大アートをご覧になったこと、ありませんか?
1993年に青森県田舎館村の村おこしイベントとして始まった「田んぼアート」は21世紀に入ってから全国各地でも描かれるようになり、今では「全国田んぼアートサミット」が開かれるほどの広がりを見せています。
ちなみに2017年のサミットは福井県越前町で7月6日から開催される予定になっています。
2017年全国田んぼアートサミットin越前町
http://www.town-echizen.jp/event/detail.php?89
現代の有色米は栄養的にもひと味違う。
巨大アートに使われる有色米は食用の品種とは異なりますが、現在でも食用の赤米や黒米も生産されています。赤米は「ベニロマン」(うるち米)「つくし赤もち」(もち米)、黒米は「おくのむらさき」(うるち米)「朝紫」(もち米)などの銘柄です。
「朝紫」や「紅衣」といった有色米の玄米には、食物繊維・鉄分・ビタミンB2が多く含まれていることが知られています。また「紅衣」の玄米からは一般米からは検出されないカテキンが含まれています。食物繊維や各種のミネラルが不足がちな現代人には有色米が適しているのかもしれませんね。
炊き方ひとつでおいしくなる有色米
有色米の豊富な栄養分を活かしたままで食べるには、玄米で少しぬかが残っている状態で炊くのがいいようです。赤米はアミロースというでんぷんを多く含んでいるのでそのままではパサついた炊き上がりになってしまいます。白米150gに赤米を大さじ2杯ほど加えて炊くと、ごはんがほんのりとした桜色に炊き上がります。同じく黒米を小さじ1杯ほど加えれば、ご飯はきれいな紫色になります。味覚だけでなく、目でも味わう有色米をぜひ召し上がってください。
