
「ごちそう!おみそ汁レシピ」第22回は、体を温めて風邪を予防する「ねぎの葉のおみそ汁」です。いつもは薬味として脇役のねぎですが、実は栄養がたっぷり詰まった健康野菜です。にんにく、唐辛子、しょうがといった体温アップ力の強い香味野菜をプラスし、鶏がらベースで栄養満点のおみそ汁に仕上げました。冷え性の方は、ぜひお試しください。
白ねぎの葉先、捨てていませんか?
お鍋に欠かせない白ねぎ。「深ねぎ」「長ねぎ」「根深」などの名でも呼ばれています。今は全国で流通していますが、もともとは関東地方で好まれていたねぎで、旬は11月~3月。土をかぶせて日に当てず育てた白い部分は、煮込むと甘味が出てとろりとします。葉先は固くて繊維が筋張っているため「いつも捨てていた」という方もおられるでしょうが、刻んで使えば美味しくいただけます。

ねぎは体を温め血行を促進します
ねぎの香りの成分は「アリシン」というもので、「硫化アリル」とも呼ばれます。殺菌作用、疲労回復、血液をサラサラにするはたらきで血行を促進し、高血圧や動脈硬化の予防も期待できる、滋養強壮の強い味方。ビタミンB1の吸収を良くするため、体を活発にしたい中高年にも役立ちます。
白い部分は「葱白(そうはく)」という漢方成分にも数えられるほどの薬効を持ち、緑の部分はカロテンやビタミンC、カルシウムやカリウム、食物繊維が豊富。ぜひ捨てずに上手に利用しましょう。たっぷり摂ると体を温める効果がありますので、特に冬場の風邪のひき始めには欠かせません。
鶏がらスープに香味野菜をプラス
今回のレシピには、和風出汁ではなく「鶏がらスープ」を使用しました。アメリカでは「風邪をひいたらチキンスープ」と言われるように、豊富なアミノ酸を含んで消化が良く、体を温めるのに最適なスープです。これにねぎのパワーを加えることで、さらに保温性と栄養を高めました。お好きな野菜や豆腐を足したり、麺を加えても美味しくいただけます。
「ねぎの葉のおみそ汁」レシピ
■手順
最初に鶏がらスープを作ります。市販の粉末のスープは塩分が加えられているものが多いので、おみそ汁にしたとき味が濃くなりすぎます。粉末スープを使用する場合は、必ず無塩タイプを選んでください。
1.鶏がらスープの作り方
鶏がらの表面に熱湯をかけた後、流水で血のかたまりや余分な脂肪などを取り除きます。鍋に処理の終わった鶏がらを並べたらひたひたの水を注ぎ、中火で沸騰させます。火を弱め、アクを取りながら30分ほどコトコトとエキスを煮出したらできあがり。にんにく、ねぎの葉、しょうが、にんじんの皮など香味野菜を一緒に入れると風味がアップします。
2.ねぎとにんにくを刻みます

まずはねぎの葉先をばらばらに分解して、細長いスティック状に。これをまとめて2㎜ほどの小口に刻みます。

にんにくひとかけは芯を取って薄切りに。鷹の爪1本分も輪切りにしておきます。この量ですと辛味はほぼありませんが、子どもさんや刺激に弱い方が召し上がる場合は省いてください。にんにくや唐辛子は、刻んだ後に手をしっかり洗うこともお忘れなく。
3.濾したスープでじっくり煮込みます
鶏がらスープを網で濾し、鍋に入れて沸騰させます。ねぎ、にんにく、鷹の爪を入れ、弱火で10分ほど煮込んでねぎの甘みを出します。最初はツンとしたねぎの刺激臭がありますが、火が入るうちにだんだんとまろやかになってきます。

4.味噌はすっきりとした信州みそで

火を止めて、お味噌を溶き入れます。ねぎから甘みが出るので、すっきり系のお味噌がよく合います。完全にお味噌が溶けたら、もう一度火にかけます。
5.仕上げに生姜を加えて保温力アップ

沸騰しかけたら火を止めて生姜をたっぷり加えます。生姜は火を通すことでジンゲロールという成分がショウガオールに変化し、体温アップ力が高まります。

あとはお椀に盛り付けたら完成。ぜひ熱々でお召し上がりください。寒い屋外へ出る前や、気温が下がる夜なども、この一杯で指先までぽかぽかします。
今回のまとめ
身近な食材ですが、なかなかおみそ汁の主役としては使わない「ねぎ」。ちょっと固い葉先も、刻んでいろんな料理に利用してみてください。ジップ付き保存袋で冷凍もできますので、風邪の季節の栄養食として、作り置きしておくのも一案です。
長ねぎの基本情報
https://www.kewpie.co.jp/recipes/knowledge/article/22/
ねぎの基礎知識
https://www.greengift.jp/knowledge/
料理記者を経て、飲食店経営や化粧品会社のマーケティングの経験をもつ。
根っからのごはん党です。趣味は世界の美味しいものを食べ歩くこと。
飲食店経営者として厨房に立っていた経験から、レシピ開発のお仕事もさせてい
ただいています。