
「ごちそう!おみそ汁レシピ」第19回は、コクのある鶏肉と香りのよいごぼうのコンビネーション。日本料理では煮物の定番の組み合わせですが、おみそ汁にしても非常によく合います。繊維たっぷりのごぼうで、お腹もすっきり。ぜひ、新米ごはんとともに秋の旬野菜をお楽しみください。
ビタミン豊富、ヘルシーな鶏肉

鶏肉のたんぱく質はアミノ酸バランスにすぐれた優秀食材。皮以外の部分は脂肪が少なく、消化吸収が良いため子どもやお年寄りも安心して食べられます。また、皮の脂肪にも動脈硬化をふせぐリノール酸など、不飽和脂肪酸が多く含まれるため、ヘルシーな動物性脂質と言えます。
また、ビタミン類も豊富で、粘膜を保護するビタミンA(レチノール)、新陳代謝を促すビタミンB群、若々しい体を保つビタミンEのほか、脂肪肝の予防にはたらくメチオニンも含まれています。
ごぼうの食物繊維でお腹すっきり
外国から来た人が「木を食べている」と驚くこともある「ごぼう」。旬は11月から年明けにかけてですが、4月~5月ごろ繊維が柔らかい新ごぼうも短い間出回ります。新ごぼうと比較して、冬のごぼうは繊維がしっかり。煮物にするなら冬ごぼうが適しています。
ごぼうで注目したいのが「食物繊維」。水溶性、不水溶性ともに豊富に含まれますが、繊維中の「イヌリン」という糖質が腸内でオリゴ糖に変化し、善玉菌を増やしてくれます。このはたらきにより、お腹すっきり効果がばつぐん。また、同じく食物繊維に含まれる「リグニン」は、コレステロールを減らして腸内の酸化物質を吸着するため、生活習慣病などが気になる方には積極的に摂っていただきたい野菜です。
ポリフェノールの流出に気を付けて
ごぼうの切り口が黒くなるのは、ポリフェノール(抗酸化物質)が豊富に含まれているためです。体に良い成分なので、本来はそのまま食べたほうがいいのですが、見た目が悪くなるので薄い酢水にさらして使うことがほとんどです。その際、酢水に長時間入れておかないようにしましょう。水溶性のポリフェノールが流出し、せっかくの栄養が無駄になってしまいます。
なお、ごぼうには食材のにおいを消すはたらきもあります。魚や肉を煮るときに加えると、臭みを消して美味しく仕上がるため、煮魚の添え物にもよく使われます。また、ごぼうはにんにくのにおい消しにも効果がありますので、にんにく料理と一緒にサラダや汁物をプラスするのもよいでしょう。
「鶏ごぼうのおみそ汁」レシピ
■手順
ごぼうを切る前に、酢水を用意しておきましょう。500CCのボウルの水に小さじ2杯程度の酢を入れ、よく混ぜておきます。切ってから時間が経つと栄養が損なわれるので、調理する直前に下処理をするようにしましょう。
1.鶏肉を食べやすい大きさに切ります
鶏肉はもも肉でも胸肉でも構いませんが、コクのある濃厚な風味ならもも肉、あっさり風味がお好きなら胸肉を使用します。皮はカロリーが高いですが、汁に旨味が出ますので、今回は皮付きのもも肉を使用しました。

2.ごぼうに十文字の切り目を入れます
ごぼうは縦方向に十文字の切り目を入れ、酢水を入れたボウルの上で、鉛筆を削る要領でささがきにします。慣れている方は切り目を入れなくても大丈夫ですが、こうすることで目の細かいささがきが簡単にできます。

酢水にさらしたごぼうは、ざるに引き上げ水けを切っておきます。

3.お鍋を火にかけ、材料を炒めます
おみそ汁を作るお鍋を火にかけ、ごま油を少量たらします。鍋底によく行きわたらせ、最初に鶏肉を炒めます。肉の色が変わったら次にごぼうを入れ、1分ほど炒めて出汁を人数分注ぎます。

あくが浮いてきますので、お玉で丁寧にとりのぞいてください。同時に、鶏肉の皮から出る黄色い脂も取り除きます。
4.味噌はコクのある仙台のこし味噌
2~3分煮て、火を止めたら味噌を溶き入れます。今回はごぼうの風味に負けない、しっかりコクのある仙台こし味噌を使用しました。味噌が溶けたら再度火にかけ、沸騰寸前で火からおろします。

出来上がり。最後に細ねぎの小口切を散らして彩りを加えました。寒い日はすりおろし生姜を小さじ1/3ほど入れると、血行を促し体温をアップしてくれます。

今回のまとめ
「根菜は下ごしらえが面倒そうで」という方は多いですが、慣れてしまえば扱いはかんたんです。日持ちもしますので、少しずつ切り出していろんなお料理に使ってみてください。うどんなど麺類を入れても、美味しくいただけます。
食物繊維やアルギニンが豊富!ごぼうの栄養と効能
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2017/03/post-53.html
ごぼう/牛蒡/ゴボウの栄養価と効用/旬の食材百科
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/gobou3.htm
ヘルシーなお話/日本食鳥協会
http://www.j-chicken.jp/museum/arekore/01.html
料理記者を経て、飲食店経営や化粧品会社のマーケティングの経験をもつ。
根っからのごはん党です。趣味は世界の美味しいものを食べ歩くこと。
飲食店経営者として厨房に立っていた経験から、レシピ開発のお仕事もさせてい
ただいています。