【ご馳走!おみそ汁レシピ第8回】茄子と甘とうのおみそ汁で夏を満喫!

【ご馳走!おみそ汁レシピ第8回】茄子と甘とうのおみそ汁で夏を満喫!

夏野菜が店頭に並ぶ季節になりました。次第に気温が上昇するこの時期は、梅雨の湿度も加わり消化機能が低下しがち。ごはんが好きな方は積極的に野菜でビタミンを摂るように心がけましょう。今回は茄子と甘とう、二種の夏野菜を使ったフレッシュなおみそ汁です。


夏野菜のフレッシュなおみそ汁でビタミン摂取!

「ごちそう!おみそ汁レシピ」第八回は、調理法によって食感の変化が楽しめる「茄子」と、肉厚で辛くない唐辛子「甘とう」の夏野菜コンビ。暑いと野菜メニューがサラダに偏りがちですが、栄養バランスを保つためにも、おみそ汁で色の濃い野菜をたっぷり補いましょう。汗の季節の塩分補給としても、発酵食品の味噌は理想的な調味料です。

美味しい茄子を選ぶには?

茄子の旬は6月から9月。まさに夏まっさかりの野菜です。選ぶときは、必ずヘタの鮮度をチェックしましょう。切り口が乾燥していたり、しなびているものは収穫から時間が経っている可能性が高いです。また、ヘタには触るとチクチクするトゲがあり、これがピンと立っているものは鮮度がいいと判断できます。

さらに、全体のハリも鮮度をあらわす重要なポイント。茄子は94%が水分と言われており、収穫後はどんどん水分を失ってしまいます。こうなると調理しても食感が悪くなりますので、みずみずしくハリのあるものを購入しましょう。

茄子特有の栄養素「ナスニン」

よく「茄子には栄養がない」と言われますが、実は特有の栄養成分があります。それは、抗酸化成分であるポリフェノールの一種「ナスニン」。茄子の皮の鮮やかな青紫は、このナスニンによるもの。抗酸化成分に共通するはたらきとして、血液をさらさらにし、ガンや心臓病、脳卒中、高血圧や動脈硬化など、生活習慣病を予防する効果が注目されています。

通常、ポリフェノールは加熱すると効果が消滅しますが、ナスニンは加熱しても発がん性物質に対し80パーセント以上の抑制効果があり、おみそ汁や炒め物などでもしっかりと栄養が摂取できます。

熱を取りむくみを解消するカリウム

茄子のもうひとつの特徴的な栄養素が「カリウム」です。カリウムには、体内の余分な水分やナトリウムを排出するため、むくみをすっきり解消してくれます。

また、体熱を逃がすはたらきがあるため、夏のほてった体を鎮めてくれる効果も。ただし、摂りすぎると体を冷やしてしまうため、食べすぎには要注意。「秋茄子は嫁に食わすな」という言葉は、姑の意地悪だという説もある一方で、最も味が良いと言われる秋の茄子を食べすぎて、お嫁さんが体を冷やさないようにという説もあります。昔の人も茄子の体熱除去効果を知っていたのでしょう。

甘とうは、唐辛子の改良品種

世界中で食べられている唐辛子。ピーマン、パプリカ、ハラペーニョなども全て同じ唐辛子のファミリーです。今回用いた「甘とう」は、甘とうがらし、甘長とうがらしなどの名称で全国に流通しています。ししとうより大きく肉厚で、パリッとした食感が魅力です。

唐辛子が日本に来たのは16世紀。「1542年にポルトガル人宣教師が大友義鎮に献上」と史書に記録があり、当時は辛い唐辛子だけでしたが、品種改良を重ねて「伏見甘長とうがらし」や「万願寺とうがらし」など、辛くない品種の京野菜が誕生。現在はさらに様々な品種が生まれています。

甘とうはビタミンの宝庫!

甘とうには豊富な栄養が含まれています。中でもビタミン類が多く、夏バテや日焼けによる肌トラブルを防ぐはたらきがあります。特に夏に欠かせない「ビタミンC」は、100g中57mgと、レモン果汁よりも多く含まれています。

また、体内でビタミンAに変換される「βカロテン」もたっぷり。粘膜や皮膚のトラブル、免疫力の向上に役立ってくれます。さらに、抗酸化作用の高い「ビタミンE」も多く含まれ、アンチエイジングや生活習慣病の予防にもおすすめしたい野菜です。

「茄子と甘とうのおみそ汁」レシピ

きれいに作るには下ごしらえを丁寧に

では、茄子と甘とうを下ごしらえしましょう。
茄子の皮は抗酸化物質特有の酸化による変色が起こりやすいため、ひと手間加えて鮮やかな色を保つのが重要です。
また、甘とうもきれいなグリーンを保ち、甘みを引き出すための工夫をプラスしました。
ここを丁寧にするかどうかでお味が格段に違います。

手順

1.茄子は切ったらすぐに水にさらします

茄子は全体を流水でざっと洗い、ヘタを落として縦半分に。3~5ミリ程度の半月に切り、すぐに水にさらします。切ったまま放置しておくと変色しますので、切ったそばから水に入れていきましょう。

2.甘とうは直火で炙ります

甘とうは水で洗ったあと、肩の部分で切り中の種を出します。竹串や菜箸などでかき出すようにするとうまくいきます。きれいな空洞になったら、甘みを出すため直火で軽く炙ります。魚焼きのグリルを使うか、フォークや金属の串に刺してコンロの火で炙ってもいいでしょう。その場合は火の根元ではなく先端で炙ると温度が高いので早く焼き目がつきます。

3.甘とうを輪切りにします

炙った甘とうの粗熱が取れたら、5mmくらいの輪切りにします。焼いてやわらかくなっているため、広がっている方は切りにくい場合があります。その場合はキッチンハサミを使うと、きれいな丸い輪にカットできます。

4.茄子の水気を切っておきます

お鍋に人数分の出汁を入れ、火にかけます。沸騰する間に茄子を水から取り出し、しっかりと水気を切っておきます。キッチンペーパーで軽く包むようにすると、早く水気が取れます。茄子の変色を避けるため、この作業は煮る直前に行ってください。

5.沸騰した出汁で茄子を煮ます

出汁が沸騰したら、茄子を加えます。ここで気をつけたいのが出汁の温度。茄子の色をきれいに仕上げるためには、沸騰している必要があります。茄子を入れた瞬間に温度が下がりますが、火加減を強くして完全に煮えるまで沸騰が続くようにしてください。もし温度が低いと、茄子の皮の色が汁に流出して黒っぽくなってしまいます。

6.最後に甘とうを入れてひと煮立ち

茄子に火が通ったら、火を止めて味噌を溶きいれます。今回は米と麦の合わせ味噌を使用しました。さらりと辛口で、野菜の甘みを引き立てます。
味噌が溶けたら再び火にかけ、沸騰直前に甘とうを入れます。ひと煮立ちして、ふわっと味噌のよい匂いがしたら出来上がり。煮すぎると甘とうの色が黒ずみますので、さっと火が通る程度で止めます。

出来上がり。茄子の皮の色も抜けず、おみそ汁の色も黒ずんでいません。ほんの少し手をかけるだけで、美味しく見た目も良くなります。

今回のまとめ

夏の定番、茄子のおみそ汁。「美味しいけれど色が汚くなる…」という方、ぜひ今回の「沸騰した出汁で煮る」をお試しください。これは他の煮物にも応用できるテクニック。また、甘とうやピーマンは直火で炙ると旨味がアップしますので、サラダに入れる際にもぜひ下ごしらえを。

梅雨に入ると食欲の落ちる方も多いですが、美味しいごはんと野菜たっぷりのおみそ汁で、元気にお過ごしください。

ナスニンの効果・効能とは?
https://nasunin.webnode.jp/

ナス(茄子/なす)の栄養価と効能:旬の野菜百科 - フーズリンク
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/nasu3.htm

甘とうがらし/ししとうがらし(獅子唐):旬の野菜百科 - フーズリンク
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/tougarashi.htm

甘唐辛子/甘とうがらし(唐辛子甘味種):栄養成分と効用
https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/tougarashi3.htm

この記事のライター

料理記者を経て、飲食店経営や化粧品会社のマーケティングの経験をもつ。
根っからのごはん党です。趣味は世界の美味しいものを食べ歩くこと。
飲食店経営者として厨房に立っていた経験から、レシピ開発のお仕事もさせてい
ただいています。

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