寒さも忙しさも増す師走「二十四節気七十二侯」12月の暦

寒さも忙しさも増す師走「二十四節気七十二侯」12月の暦

稲作を中心とした日本の農事の目安とされ、また暮らしの節目として親しまれてきた「二十四節気七十二侯」。もとは古代中国で生まれたものですが長い年月を経て日本の気候風土に馴染み、四季の移り変わりを肌で感じられるものに進化してきました。季節感を失いがちな今の時代だからこそ、「二十四節気七十二侯」を意識して、日本の自然の豊かさを見直してみませんか?


二十四節気「大雪」12月7日~12月20日

12月に入った途端、あちこりから聞こえてくるのが「今年も残り一ヶ月を切りました」の声。年間の流行語大賞や今年の重大ニュースなどの記事も目につくようになってきました。どこかソワソワとせわしなく、何かに急かされているような気持ちになるから不思議なものです。
この季節は田んぼもひっそりと静か。二十四節気の生まれた中国には「瑞雪兆豊年」という言葉があり、時節を得て雪が降る年は豊作が見込まれるとされたとか。秋起こしされた田も、冬鳥のため秋起こしせず稲の株を残した田も雪に覆われて春を待ちます。

撮影「Takashi Maki」

「大雪」は雪が激しく降り始める頃という意味をもっています。日暮れが一層早くなって寒さもひとしお。大陸から寒気が南下し、日本海側や北日本では平野部でも雪が降るようになります。
大雪の初候は「閉塞成冬」(そらさむくふゆとなる)12月7日~10日」。まさに重い雲が空に垂れ込めている様子を表し、季節は冬本番となります。

次候は「熊蟄穴」(くまあなにこもる)12月11日~15日。クマをはじめとする山の生き物が冬ごもりの準備をはじめる頃。人間も新しい年を迎える準備をはじめます。それが12月13日の「正月事始め」。
1年の穢れを祓い清める「煤払い」や、門松にする若松を山に採りに行く「松迎え」など、歳神さまを迎える準備をはじめる日とされてきました。これは12月13日が、婚礼以外の万物に大吉とされる「鬼宿日」(きしゅくび)にあたることが理由。
今も多くの寺社仏閣では、この日に煤払いが行われています。おうちの大掃除も、これにならって12月13日に初めてはいかがでしょうか。すっきりした気持ちで年末年始を迎えられるかもしれませんね。

末候は「鱖魚群(さけのうお むらがる)12月16日~20日。海で大きく育ったサケが産卵のため、群れをなして生まれた川に戻ってくる頃。
ワタを除いて塩漬けにした新巻鮭は、江戸時代後期からお歳暮や年始の贈答品として珍重されました。「塩鮭」「塩引」「荒巻」は冬の季語とされています。

「大雪」のごちそう

動物が冬ごもりの準備を始めるように、寒さが募るこの時期は人間も体の動きが鈍くなってくるもの。鮭や鰤など体を温める性質のある食材を積極的に摂りましょう。ただし、お刺身ではなく煮物や鍋、汁物など温かい料理で摂ること。鮭ならネギや根野菜と一緒に煮込んだ石狩汁や粕汁、鰤なら旬を迎える大根と一緒に炊いた鰤大根もおすすめ。熱々の汁物をお供に白めしが進むこと、間違いなしです。

二十四節気「冬至」12月21日~2021年1月5日

「冬至」は「日短きこと至(きわま)る」という意味の言葉。太陽が出ている時間が1年で最も短い日です。そして、この日を境に太陽が出る時間は日1日と長くなっていきます。
言い換えれば、冬至は太陽が生まれ変わる日。日本のみならず世界中で大切な節目として、さまざまな行事が行われてきました。

日本の冬至といえば、欠かせないのが柚子湯です。日本では古来、良い香りは邪気を払うとされてきました。柚子には血行を促す成分や痛みを鎮める成分が含まれているとか。冷えた体を温めて体のこわばりをほぐし、風邪に負けないよう体を整えていきましょう。

初候は「乃東生」(なつかれくさしょうず)12月21日~25日。夏枯草の別名をもつ靭草が、冬枯れの野で芽を出す頃。次候は「麋角解」(びかくげす)12月26日~30日。「麋」は大鹿を表し、そのツノが新しく生え変わる頃を指します。
この頃になると、正月はもう目の前。鏡餅や注連飾りなどの正月飾りの準備は、一夜飾りを避けるため30日までに行うのが習わしです。

末候は「雪下出麦」(ゆきわりてむぎのびる)12月31日~2021年1月5日。秋に蒔いた麦が寒さの中で芽を出し、雪の下で雪解けを待ちます。この時期に行われるのが「麦踏み」。踏むことで茎は太く強くなり、しっかりと根付きます。

12月31日は、いよいよ大晦日。年越し蕎麦を食べて、除夜の鐘を聞いて、新たな年を迎えます。無事に年を越した感謝を忘れずに、氏神様にお詣りを。新型コロナ感染が1日も早く収束するよう、感染した方が回復なさるよう祈らずにいられません。
ただし、ソーシャルディスタンスは忘れずに、三密を避けて行動しましょう。

撮影「Takashi Maki」

明けて元日は、お待ちかねのおせちとお屠蘇とお雑煮を。おせちは、そもそも歳神様をもてなすためのお供えです。そのお下がりを分かち合って食べたものが、おせちとなりました。数の子は子孫繁栄、田作りは豊作、黒豆は健康、大きな芽を出すクワイは出世など、健康や繁栄への祈りがこめられたおせち、家族とともに大切にいただきましょう。

「冬至」のごちそう

冬至には「ん」がつく食べものを食べて、運気をあげるとよいとされてきました。その代表が「なんきん」。カボチャです。「ん」が2つもつくから運気上昇も2倍と喜ばれたとか。
ほっくり煮つけてよし、茹でてサラダにしてよし、天ぷらにしてもよし。実は肌や粘膜を丈夫にするビタミンやβカロテンが豊富で、風邪を引かない体づくりに役立つのだそうです。緑黄色野菜の少ないこの季節、冬至までの長期間保存ができるカボチャは貴重な食材だったのでしょう。昔から言い伝えられていることには、理由があるものですね。
地方によっては、赤い色が邪気を払うとされた小豆と一緒に「いとこ煮」にして食べる習わしもあるようです。

この記事のライター

好きが高じて食をテーマに20余年、食べては書く日々を送るライター・エディター。

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