ごはんと癒し:薬膳粽(ちまき)に、母の願いをこめる。

ごはんと癒し:薬膳粽(ちまき)に、母の願いをこめる。

4月は始まりの季節、よい機会なので薬膳料理の基礎を少し話したいと思います。 春になると植物が芽吹く、それはなぜだか知っていますか?


薬膳が考える「春」とは

春には、太陽が大地を温め、冬に固くなった土の中で虫達がまず動き出します、そのお陰で土は自然と軟らかくなり、種や苗が育つのに適した土壌ができ、命が芽生え育つのだそうです。命あるものと、それを取り巻く天地の間にある空間(自然界)は一体、全てが繋がっていると聞き納得、人間もその一部に違いないと思うようになりました。

薬膳料理とは、そんな自然界の法則を学び、季節ごとの旬の食物を食べることで、からだを整えていくことのできる料理です。自然界で起きていることが体内でも起きていると考えますから、強い風の吹く春には、体内で肝の気が暴走しやすく、血が首から上に上がりやすいので、心の不安定、眩暈や頭痛が起きると考えます。もちろん実際の春風による、目のかゆみやアレルギー症状なども起きやすい、春はなかなか大変な季節と言えますね。

ではこのような季節に体調を整えるためには、どのような物を食べればいいのでしょうか。

五気六味 の考え方

中医学の考え方では私たちが普段口にする食物には、5つの性質(薬性)と6つの味があるといわれています。
5つの性質を「五気」といいますが、寒、涼、温、熱、平の5つ表されます。意味合いは、文頭に「からだを…」と付けるとよくわかります。からだを冷やす、からだを涼やかにするからだを温める… 最後の「平」は、特に体を温めたり冷やしたりする性質はなし。そういう食材もあるそうです。
また、六味は、酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(塩辛さ。薬膳的には海産物の持つ旨み)、淡味の6つ。ただし、実際には食べた時感じる本来の味だけでなく、体に入ってから現れる効果も含まれていますので、現代栄養学とは考え方が少し違います。その働きを下にまとめました。
これを参考に食材を選ぶのも楽しいですね。

五気

五気意味
からだを冷やす
からだを涼やかにする
からだを温める
からだを熱くする
いずれにも作用せず他との調和を促す(最も多くの食材が分類される)

六味

六味主な効果
酸味収斂(しゅうれん)、固渋
多汗や下痢、多尿など、出過ぎるものを収める働き。肝を養う
苦味清熱、乾燥、解毒
からだの熱と湿を取り、のぼせ、むくみや胃もたれを解消する。心を養う作用もあるが摂りすぎには注意
甘味補益、和中、緩急
滋養作用があり疲れを癒す。血や気を補い体力を増進するが、摂り過ぎるとからだが緩み、だるくなる。脾を養う
辛味発散、行気、活気
気、血の巡りをよくして身体を温め発汗させ不要な水分を除く。肺を養う
鹹味(かんみ)軟堅、散結
塩辛さ、海産物の持つ旨み。瘤や塊を和らげ散らす。便秘や腫れ物に有効。腎を養う
淡味滲泄(しんせつ)、開竅(かいきょう)
はと麦、冬瓜、白菜などあっさりとした味のもの。利尿作用があり脾を養う

薬膳粽(ちまき)に、作り手の願いをこめる。

さて、今回のお勧めごはんは、薬膳粽(ちまき)です。レシピを紹介する前に、その起源をぜひご紹介したいのでお付き合いください。

今からおよそ2300年前の中国に屈原(くつげん)という詩人がおりました。屈原は、国の行く末に失望したあまりに汨羅(べきら)という川に身を投げてしまったそうです。それが5月5日でした。国民は、屈原が魚に食べられてしまわないよう小船の上から太鼓を叩いて脅かしたり、様々なお供物を投げ込んで弔いをしたりしていました。しかし、せっかく投げ込んだお供物も、屈原の元に届く前に悪い龍に食べられてしまいます。
そこで国民は、龍が苦手とする蓮樹(れんじゅ)の葉でもち米を包み、邪気を払う五色の糸(赤、青、黄、白、黒)の糸で縛って川へ流したところ、無事に屈原のもとへ届いた、というのが粽の始まりだそうです。

このような謂れから、5月5日は屈源の供養の日とされていましたが、その後、病気や災いを除く大切な宮中行事として変化し、三国志の時代には端午の節句となったそうです。人びとの健康でありたいという願いを込めてつくられた粽が日本に渡ってきて、武家社会の男子の成長を祈願する端午の節句の食べ物として粽を食べるようになったと言われています。粽は、作り手、母の願いをたくさん込めてこそ、のお料理なのですね。旬の食材を詰め込んだ粽で、邪気を払い、元気よく毎日を過ごしましょう。

今回も、お話とレシピは、国際薬膳師の渋谷久恵先生にご指導いただきました。

薬膳粽(ちまき)レシピ

ポイント

胃腸の働きを整え、身体の重だるさを改善する。

材料

  • もち米・・・・・2カップ
  • 豚方肉厚切り・・100g
  • 茹筍・・・・・・50g
  • 干し椎茸・・・・2枚
  • 鶏卵・・・・・・2個
  • 干しエビ・・・・20g
  • 生姜・・・・・・20g
  • サラダ油・・・・大さじ2
  • 醤油・・・・大さじ1.5
  • 塩・・・・・小さじ1/2
  • 胡椒・・・・適宜
  • 酒・・・・・大さじ2
  • 牡蠣油・・・大さじ1
  • スープ・・・1カップ(コンソメでよい)

  • 笹の葉・・・8~10枚

作り方

  1. もち米は一晩水につけ、ザルにあげておく。
  2. 干し椎茸を水で戻す。
  3. 豚肉は1㎝の角切り、筍、椎茸は5mm角に切る。生姜はみじん切りにする。
    卵は煎り卵にしておく。干しエビはさっと洗って粗みじんに切る。
  4. 中華鍋をよく熱して油を入れ、生姜、干しエビ、豚肉の順に炒める。
  5. 肉が白くなってきたら、筍、干し椎茸を加えてさらに炒め、スープ、調味料を入れ一まぜしたらもち米を入れ、かき混ぜながら水分がなくなるまで炒め煮する。
  6. 火を止める前に煎り卵を加え混ぜ、バットにあけて粗熱を取る。
  7. 笹を洗い、表面の水分を拭き取ったら葉先が三角になるように丸めて(左手を筒のような形にしてその中に丸める)[6]を詰めるように入れる。
    笹の柄を下から差し込むように入れ引っ張り上げ、蓋をする。
  8. 強く湯気の上がった蒸器に入れて、25分蒸す。
     笹がない場合は、ラップを使用して包んでもよい。  

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