春爛漫。芽吹きの喜びを感じる「二十四節気七十二侯」4月の暦

春爛漫。芽吹きの喜びを感じる「二十四節気七十二侯」4月の暦

「二十四節気七十二侯」という言葉をご存知ですか? 太陽の動きをもとに一年を二十四等分して季節の節目を表したものが「二十四節」。それをさらに三等分したのが「七十二侯」です。古代中国で考え出されて日本に渡り、長い年月を経て日本の気候風土に合わせて改良されて、季節の移ろいを知る目安や農作業の目安として親しまれてきました。 季節や旬を忘れがちな現代、「二十四節気七十二侯」を知って、もっと心豊かな日々を送りましょう。


撮影「Takashi Maki」

4月の別名は「うづき」。卯の花が咲く「卯の花月」が詰まったものとも、春夏秋冬のめぐりがはじまる「初」からきたものとも言われます。
平安時代、清少納言によって書かれた「枕草子」冒頭を思い出す人も多いのではないでしょうか。「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎはすこしあかりて むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる」の一節には、夜明けが早くなり昼間の時間が長くなることへの喜びが込められているようにも感じられます。

撮影「Takashi Maki」

桜の季節は何年も前から徐々に早くなっていますが、今年は特に早い開花に。東京では3月14日に、標本木である靖国神社のソメイヨシノの開花が確認されました。3月末のうちに満開を迎えるところも多いと予想されています。4月に入れば、風に舞う花吹雪や川面に花びらが浮かぶ花筏が楽しめるかもしれません。

撮影「Takashi Maki」

今まで眠っていた田畑も動き出します。田んぼに水が入り代かきが終われば、間もなく田植え。静かに田植えを待つ田んぼは鏡のように澄んで、青空や夜空の月を映します。

撮影「Takashi Maki」

二十四節気「清明」4月4日~19日

草木も虫も万物が清らかで生き生きとした様子を見せる頃。木々が芽吹き、野の草が可憐な花を咲かせます。タンポポ、レンゲ、スミレ、シロツメクサにカラスノエンドウ。

撮影「Takashi Maki」

撮影「Takashi Maki」

初候は「玄鳥至(つばめきたる)4月4日~8日」。南の国で冬を過ごしたツバメが海を越えて戻ってきます。ツバメがやってくると本格的な春。田畑も一気に活気づきます。
次候は「鴻雁北(こうがんかえる)4月9日~13日)」。ツバメと逆に、冬を日本で過ごした雁が北へと帰っていきます。
続く末候は「虹始見 (にじはじめてあらわる)4月14~19日」。春の深まりとともに大気が潤い、きれいな虹が現れるように。

4月8日は花まつり。お釈迦さまの誕生日です。お寺では、花で飾った花御堂にお釈迦さまの像を納めて、像に甘茶をかけてお祝いします。これはお釈迦さまの誕生を寿いで天から龍がくだり、産湯として甘露の雨を降らせたという逸話によるものだとか。
4月13日は十三詣りの日。数えで13歳になった子どもが虚空蔵菩薩にお詣りして知恵と福徳を授かる習わしが各地に伝わっています。有名なのは京都・嵯峨の法輪寺。渡月橋を渡ってお詣りを済ませた子どもは再び渡月橋を渡って帰途につくわけですが、橋を渡り終えるまで振り向いてはならないのだとか。振り向くと授かった知恵や福徳を落としてしまうと言われているそうです。

「清明」のごちそう、豆ごはん

この季節に出回るのが、みずみずしい緑色のえんどう豆。別に塩茹でした豆を炊き上がったごはんに加えると、色よく仕上がります。また、豆を外した後のサヤをくたっとなるまで煮て、その茹で汁でごはんを炊くと、香りと甘みが段違いによくなります。サヤごと売っているえんどう豆を見つけたら、ぜひ試してみてください。

二十四節気「穀雨」4月20日~5月4日

春雨が百穀を潤す頃。天から恵みの雨が地上にしっとりと降り注ぎます。この頃になると、田んぼ一面に咲くレンゲを懐かしく思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
レンゲの根には稲の生育に必要な窒素を地中に送り込むバクテリアが共生しているため、かつては田んぼにレンゲを蒔いて花を咲かせ、田んぼにすきこんでから田植えをしたものだとか。ただ、近年は田植えの時期がどんどん早くなって、緑肥を目的にしたレンゲ畑は幻の存在に。残り少ない日本の原風景、なんとか次世代に残してきたいものですね。

撮影「Takashi Maki」

初候は「葭始生(あしはじめてしょうず)4月20日~24日」。水辺のアシが芽吹きはじめ、山や野も一斉に芽吹きます。その明るく華やいだ様子は、まさに春の季語「山笑う」がしっくり。
芽カンゾウやタラの芽、コシアブラ、コゴミなどの山菜を楽しめるシーズンでもあります。独特のほろ苦みは、老廃物を体の外に出し体をシャッキリ目覚めさせてくれる力あり。旬を取り込んで春を健やかに過ごしましょう。

撮影「Takashi Maki」

次候は「霜止出苗(しもやんでなえいずる)4月25日~29日)」。ぐんぐんと気温が高くなり、霜が降る心配がなくなる頃。苗代の苗もすくすくと育ち、場所によってはまもなく田植えが始まります。この頃、里山に咲く始めるのが卯の花やツツジ。「苗代花」とも呼ばれます。

続く末候は「牡丹華 (ぼたんはなさく)4月30日~5月4日」。「百花の王」と尊ばれる牡丹の花咲く頃。この頃、立春から数えて88日目にあたる日を八十八夜と呼びます。この頃には遅霜が降りる心配がなくなり気候も安定するため、茶摘みや田植えをはじめ本格的な農作業が始まる目安とされました。

「穀雨」のごちそう、筍づくし

この頃になると、八百屋さんや産直市場に並ぶ筍もずいぶん手頃な値段になってきます。そこで、たっぷり筍を買って贅沢に筍づくしを楽しみましょう。
先端の薄くい姫皮は梅肉和えに、中ほどの柔らかい部分は筍ごはんに、根元のコリコリした部分はすりおろして筍だんごに。この時期に出まわりはじめる木の芽(山椒)を合わせれば、季節を丸ごと楽しむごちそうに。

この記事のライター

好きが高じて食をテーマに20余年、食べては書く日々を送るライター・エディター。

関連する投稿


秋の足音を聞く長月「二十四節気七十二侯」9月の暦

秋の足音を聞く長月「二十四節気七十二侯」9月の暦

今年の残暑の厳しさは、今までに経験したことがないほど。熱中症対策をとりながら過ごす9月となっています。しかし、心を鎮めて周囲の自然に気持ちを向けてみると、ひと筋ふた筋と秋の気配が漂い始めています。日本人が古くから親しんできた農事と暮らしの暦「二十四節気七十二侯」をひとつの目安に、実りの季節へ移りゆく9月を大切に過ごしましょう。


葉月「二十四節気七十二侯」8月の暦

葉月「二十四節気七十二侯」8月の暦

例年にないほど長い梅雨がようやく開けた途端、文字通りうだるような暑さに見舞われた今年の8月。熱中症防止と新型コロナウィルス感染防止、両方の対策を講じながら過ごす夏は、特別なものになりそうです。 そんな中でも自然の営みはたゆむことなく、季節も足を止めることはありません。古くから日本人が親しんできた農事と暮らしの暦「二十四節気七十二校」を目安に、移りゆく季節を感じながら過ごしましょう。


稲穂が膨らみゆく文月「二十四節気七十二侯」7月の暦

稲穂が膨らみゆく文月「二十四節気七十二侯」7月の暦

ついこの間、梅雨に入ったと思ったのに気がつけばもう7月。今年の梅雨明けは平年よりも少し早く、しかも梅雨明け早々から猛暑になる模様。新型コロナウィルスの感染もまだまだ油断ならない状況下で迎える今年の夏は、今までにない心構えを求められそうです。 とはいえ、人間社会がどんな状況にあろうとも季節は移り、自然も営みを止めることはありません。古くから農事や暮らしの目安とされてきた暦「二十四節気七十二侯」に親しんで、この夏を充実したものにしていきましょう。


水無月「二十四節気七十二侯」6月の暦

水無月「二十四節気七十二侯」6月の暦

木々の緑がますます深くなり、春先に花を咲かせた梅が青々とした実をつける頃となりました。新型コロナウィルスへの感染はまだまだ油断がならない状況ですが、さまざまな対策をとりながら外出自粛などを段階的に緩和する動きが現れてきました。 どんな大変な状況下でも、自然の営みはたゆむことなく季節も動きを止めることはありません。移りゆく季節と人の暮らしの目安となる暦「二十四節気七十二侯」を知って、今この一瞬を見逃さず日々を大切に暮らしていきましょう。


爽やかに風薫る皐月「二十四節気七十二侯」5月の暦

爽やかに風薫る皐月「二十四節気七十二侯」5月の暦

山は新緑に輝き、薫風吹き渡る五月。新型コロナウイルスの感染拡大は未だ先の見えない状況ではありますが、そんな時でもいつもと変わりなく季節はめぐってきます。「ステイホーム」が必要な今だからこそ、身近な自然や季節の小さな変化を感じながら暮らしてみませんか。 そんな暮らしの目安となるのが「二十四節気七十二侯」。古代中国から日本に伝わり長らく親しまれてきた暦を知って、家で過ごす時間をもっと心豊かなものにしていきましょう。


最新の投稿


【お米クイズ】第106回:稲を育てる微量要素とは

【お米クイズ】第106回:稲を育てる微量要素とは

「これは知ってほしい!」五ツ星お米マイスター・小池 理雄が、皆さんへお米のトリビアを毎回楽しくお届けする「お米クイズ」。 第106回は稲を育てる微量要素についてです。


「新しいカレーの生活様式」感染症対策を徹底し、下北沢カレーフェスティバル2020開催!

「新しいカレーの生活様式」感染症対策を徹底し、下北沢カレーフェスティバル2020開催!

下北沢カレーフェスティバルは、今年で9回目を迎える年に1度のカレー祭り。参加店は113店舗で、ミニカレーや限定メニューをご用意。下北沢が初めての方も常連の方も、お気に入りカレーを見つけられるフェスティバルです。 また、今年は感染症対策を徹底。「新しいカレーの生活様式」と題し、全店舗テイクアウト注文可・屋外飲食スペース設置を試みます。下北沢は、お祭りなき2020年の秋にもう一度、祭りの灯をともします。


新潟県南魚沼発の農業レーベル「Soil Works」による新ブランド米『然然』の立ち上げを記念したポップアップイベント開催!

新潟県南魚沼発の農業レーベル「Soil Works」による新ブランド米『然然』の立ち上げを記念したポップアップイベント開催!

新潟県南魚沼発の農業レーベル「Soil Works」による新しいお米ブランド『然然(シカジカ)』の立ち上げを記念して、ポップアップイベントが渋谷PARCO1F「COMINGSOON」にて開催されます。初日の18時からは、塩おむすびや南魚沼の地酒「八海山」が振る舞われるオープニングパーティーも開催!新潟出身のBeatmaker / ProducerのSam Is Ohmと、同じく新潟出身の町田涼による選曲もお楽しみいただけます。


【お米クイズ】第105回:どんぶりもののルーツ

【お米クイズ】第105回:どんぶりもののルーツ

「これは知ってほしい!」五ツ星お米マイスター・小池 理雄が、皆さんへお米のトリビアを毎回楽しくお届けする「お米クイズ」。 第105回はどんぶりもののルーツについてです。


新学期を迎えたお子さまに気持ち良い朝の目覚めを忙しい朝はササっと新習慣!「めざまし茶づけ」

新学期を迎えたお子さまに気持ち良い朝の目覚めを忙しい朝はササっと新習慣!「めざまし茶づけ」

株式会社永谷園は、代表商品である「お茶づけ海苔」など「お茶づけ」シリーズを活用した、忙しい朝でもササっと用意でき、子どもの3つのスイッチONをサポートする朝の新習慣「めざまし茶づけ」を提案します! 多くの小中学生が新学期を迎えた時期に合わせ、〜小学生民謡歌手 江端菜沙さんが歌う「めざまし茶づけのうた」〜Webムービー『毎朝!!めざまし劇場』も8月24日(月)より公開しました!


アクセスランキング


>>総合人気ランキング