ごはんと癒し:薬膳ちらしで、春のイライラを鎮める。

ごはんと癒し:薬膳ちらしで、春のイライラを鎮める。

薬膳の視点から、春の不調やイライラを鎮めるごはんのレシピについてお話しします。薬膳における春とは、立春(2月4日)~立夏(5月6日)までの3ヶ月。冬からの陰気が弱まり、陽気がだんだん強くなる時期とされています。


桜の開花も目前、お花見を心待ちにしていらっしゃる方も多いと思いますが、昔から「春はどうも苦手」と感じる方も意外と多いのではないでしょうか。私も、花粉症ではないのに、なんとなくふわふわそわそわした春が苦手な時期がありました。最近、薬膳料理を習い始め、自然と人体の関りを見つめなおすようになり、食事で心身の健康を取り戻す術を知りました。今回は、そんな薬膳の視点から、春の不調の理由、イライラを鎮めるごはんのレシピを紹介します。

春が運ぶメンタルの不調のお話

春はなぜ心が不安定になりイライラするのでしょうか。
薬膳では自然界の季節変化と同じように人体も変化すると考えます。
春は自然界のすべてがのびやかに成長する時期なので、人間の身体も心ものびやかに過ごすことが大切とされます。社会生活を営む人間にとって、春は様々な暮らしの変わり目でもあります。環境の変化が激しいこの時期。慣れない環境で頑張っている間に、精神バランスが不安定になり、抑うつ・無気力・疲労感・焦り・不眠といった症状に悩まされやすい。言いかえれば、春は自律神経のバランスが崩れやすい。つまりストレスを受けやすい季節でもあります。

中医学では、ストレス等を原因とした精神活動にかかる疾患は「肝」の症状と考えます

肝の働きの主なものは、血液の調整、新陳代謝、精神や感情をコントロールすることで、とても大切な役割を担っています。肝気は上昇しやすいので上手に発散させないと身体の上部(特に首から上)のトラブル(いらいら・些細なことで腹が立つ・やる気がでない・落ち込む等の精神活動が不安定)になりやすいのです。
肝の不調は胃腸の働きにも影響します。体に必要なエネルギーが不足しがちになり、十分な血液が全身にいきわりにくくなるため、神経がピリピリする・身体がだるい・眠れない等の症状が出てくるのです。

春の体調に影響する冬の過ごし方

春に体調がすぐれないという皆さんは、この冬はどんな風にお過ごしでしたか。
寒く厳しい冬の間、心身を労わらず不養生にしていると(疲れを溜める、運動不足、偏った食事など)、気候が暖かくなるにつれ活発になる肝の働きに見合う力が体の中に十分に蓄えられないため、春になり上昇する肝の気を抑えきれず、肝気が上昇し過ぎて不調をもたらすと言われています。
イライラや憂鬱感も、肝の動きに身体がついていかないから起こるということですね。

春のイライラを鎮める薬膳ちらしレシピ

菜の花と蕎麦米のちらし寿司

このレシピには、肝気を鎮める働きのある菜の花、気持ちをリラックスさせる働きのある蕎麦米(実)や陳皮、気持ちを穏やかにさせる働きのある卵や五味子、体をいたわる働きのある松の実、イカを用います。とても美味しいのでぜひ作ってみてください。
薬膳のお話とレシピは、国際薬膳士の渋谷久恵先生にご協力いただきました。

菜の花と蕎麦米のちらし寿司(5人分)

ポイント

五味子(ゴミシ)という生薬の実を漬け込んだ酢を使い、具材を炊きこんだ寿司。
炊きこむことで酢が柔らかくなり、春に適した酸味となります。

材料

  • 米・・・・・1.5カップ
  • 蕎麦米・・・0.5カップ
  • 酒・・・・・ 大2
  • 水・・・・・ 2カップ

【A】薬膳の酢

  • 五味子(ゴミシ)酢・・・80ml(200ccの酢に五味子大1の濃度)
  • 砂糖・・・・ 大2
  • 塩・・・・・ 小1

【B】合わせ酢の具材

  • 干椎茸・・・・2枚
  • 黒キクラゲ・・2枚
  • 人参・・・・・80g
  • 昆布出汁・・・350ml

【C】ちらし寿司の具材

  • イカ・・・・・75g(生食用)
  • 松の実・・・・10g
  • 菜の花・・・・150g
  • カニの身・・・50g
  • 【C-1】錦糸卵
    • 鶏卵・・・・・3個
    • 砂糖・・・・・ 小1
    • 酒・・・・・・ 小2
    • 片栗粉・・・・小1/2
  • 陳皮(乾燥したみかんの皮)・・ 10g

作り方

  1. 米は炊く30分前に洗い、ザルにあげておく。蕎麦米はさっと洗っておく。
  2. 【B】を使って合わせ酢を作る。干し椎茸、黒キクラゲは水に戻して千切りにする。人参は人数分の薄切りを花形で抜き、残りを細かく切る。これらを一緒に全部合せて【A】で茹でる。花形人参だけ形が崩れる前に取り出し、あとは煮汁がなくなるまで煮詰める。
  3. 炊飯器に[1][2](花形人参以外)を入れて炊く。
  4. 陳皮を水で戻す。
  5. カニの身をほぐす。イカはさっと霜降りし、そぎ切りにする。松の実は炒っておく。
  6. 菜の花は色よく茹で、葉先を残して茎の部分を5ミリ幅に切り、塩と酒少々で下味をつけておく。
  7. 【C-1】で錦糸卵を作る。やわらかくなった陳皮を千切りする。
  8. [3]を飯台にあけ、[6]の茎を混ぜ、器に盛り、[5]、錦糸卵、葉の花の葉先、花形人参、陳皮を彩りよく飾る。

薬膳は、自然と一体でとても興味深く、楽しいです。珍しい食材や生薬を知ることは新しいワクワクの連続です。 皆さんもぜひ、おためしください。

この記事のライター

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