【ごはん歳時記 6月】「青田買い」って、知ってます?

【ごはん歳時記 6月】「青田買い」って、知ってます?

梅雨を控えて、そろそろ田植えが終わるころですね。 緑色の苗が植えられた田んぼは、美しい日本の初夏の風景です。 そんな時期、大学生の皆さんは就職戦線真っ最中。 早々に内定を出すことを「青田買い」なんて言います。 では「青田」の意味、知ってますか?


ごはん歳時記

日本は四季の国。
春夏秋冬の移ろいが、暮らしに、風習に、食べ物に、
四季折々の彩りを添えてきました。
食いしん坊の人にとっては
暮らしの中で一番ビビッドに感じられる四季は
旬の食べ物かもしれませんね。
四季と食べ物を巡るエピソードで
人とごはんのつながりを辿る「ごはん歳時記」
さて今月は「青田買い」です。

緑色なのに、青田というのは変?

田植えが終わって苗が伸びると、田んぼは苗の葉が風になびく緑色の海になります。
日本の初夏を象徴する風景です。
まだイネが実る前の田んぼのことを「青田」と呼びます。イネの穂が出る前の状態ですから田んぼの色は黄金色ではなく、緑色。なのに「青田」というんですね。

昔から日本語の青(あを)は藍色・青色・緑色を幅広く指し示す言葉だったようで、その名残が現代語の中でも残っています。
例えば信号の色は、実際には「緑信号」ですが慣例的に「青信号」と呼ばれていますし、熟す前のまだ緑色をしている梅の実は「緑梅」ではなく「青梅」です。

「青田買い」は先物買い。

就職活動が盛んな時期によく使われる言葉「青田買い」。本来の意味は、まだ実る前の田んぼを早くから買い取る契約のことを言います。転じて、才能ある人材を確保するために、先手を打って採用してしまうことを指すようになりました。

秋に無事収穫できるかどうかわからない稲田を実る前に買うわけですから、リスクも大きいのですが、ハイリスクを承知でハイリターンを狙う先物買いです。売り手市場である昨今の就職戦線では、よく見られる現象とも言えます。学生さんにとってはありがたいことかもしれません。

慎重派には「青田と子供は褒められぬ」

一方でリスクの大きい「青田買い」をいさめることわざもあります。あまり聞いたことがないでしょうが、「青田と子供は褒められぬ」ということわざです。
いくら青々と苗が伸びていても、秋の収穫を無事に迎えることができるかどうかはわからない。それは子どもを見ただけでは、どんな大人に成長するかわからないのと同じ。だから、イネも子供も安易に褒めるだけではなく、ちゃんと育てていかないと実りは得られないという教訓です。
学生さんたちの潜在能力を見抜かなければならない企業の採用担当者にとっては、含蓄のある言葉かも知れませんね。

大事なことは「青田から飯になるまで水加減」

いくら「青田買い」で優秀な人材を確保しても期待外れの「褒められない子」になってしまっては元も子もありません。人材は買うものではなく、育てるものということわざもちゃんとあります。
「青田から飯になるまで水加減」、育成期にはたっぷりの水、熟成期には水を抜く。イネをきちんと育てるには、田んぼの水管理は欠かせません。
さらに収穫後のお米をごはんに炊きあげるには、きちんと米を計量し、最適の分量の水を入れて炊かなければ、おいしいごはんはできません。
その時その時に応じて「いい具合の水加減」を用意しないと、お米もごはんもできないという教訓です。

人を育てるにも、過保護もいけないし、放置してもダメ。やはり「いい具合の手加減」が求められます。人もイネも、育てるには時間も手間もかかりますねえ。

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おこめディア編集部より:
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今回で奥 浩一郎さんの「ごはん歳時記」は最終回となります。
次回よりコラム「ごはんいろいろ、想いいろいろ。」が再スタートしますので、お楽しみに!

この記事のライター

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