【ごはん歳時記 4月】桜が咲いたら、桜餅。

【ごはん歳時記 4月】桜が咲いたら、桜餅。

そろそろお花見の季節ですね。桜を愛でながらの一献も粋ですが、「花より団子」とおっしゃる方も多いことでしょう。桜といえば「桜餅」。今月はごはんからちょっと寄り道をして和菓子の世界へ。


ごはん歳時記

日本は四季の国。
春夏秋冬の移ろいが、暮らしに、風習に、食べ物に、
四季折々の彩りを添えてきました。
食いしん坊の人にとっては
暮らしの中で一番ビビッドに感じられる四季は
旬の食べ物かもしれませんね。
四季と食べ物を巡るエピソードで
人とごはんのつながりを辿る「ごはん歳時記」
さて今月はおやつメニューの「桜餅」です。

関東では「長命寺」、関西では「道明寺」。

そもそも関東と関西では「桜餅」の呼び名も姿かたちも違います。

関東ではピンク色のクレープみたいな薄い餅であんこをはさみこんだものが桜餅です。江戸時代に初めてこの形の和菓子を作ったのが江戸・向島にあった長命寺の門番だったという言い伝えに因んで「長命寺」とも呼ばれます。

関東の桜餅、「長命寺」。

かたや関西の桜餅は、薄いピンク色のつぶつぶのある餅皮であんこをくるんだ饅頭のような形。餅皮の原料である道明寺粉に因んで「道明寺」と呼ばれています。
塩漬けにした桜の葉で包まれているのは共通していますが、関東風は桜の葉を外してから食べるようですが、関西風はお餅の表面に粘りがあって葉っぱを剥がしにくいので、葉っぱごと食べることのほうが多いようです。食べ方にも差が出るんですね。

関西の桜餅、「道明寺」。

同じ餅でも原料も違う。

長命寺は小麦粉、道明寺はもち米。

関東風の「長命寺」の皮は小麦粉をこねて薄く延ばしたものですからクレープ皮と同じ材料ですが、関西風の「道明寺」の皮は、もち米を蒸してから乾燥させた後に砕いた道明寺粉が原料ですから、クレープではなくてお餅に近いもの。大阪・藤井寺市にある道明寺で、神前にお供えしたもち米から保存食として作っていた糒(ほしいい)が元祖なので道明寺粉と呼ばれるそうです。

クレープっぽい「長命寺」とお餅っぽい「道明寺」。同じ「桜餅」と名乗っていても原料の違いで形も食感もずいぶん違いますね。

勢力地図も互角。

「長命寺」も「道明寺」も今では両方の桜餅を置く和菓子屋さんも増え、ともに全国区の知名度を持っているようですが、「長命寺」は昔から島根や鳥取でもよく見かけるようですし、「道明寺」は北海道や青森・秋田・山形など東北でもずっと人気があるようです。北陸地方はもともと両方の桜餅が共存する地域だったようです。

小麦栽培が盛んだった関東では小麦粉を使った「長命寺」、稲作が中心だった関西ではもち米を使った「道明寺」。それぞれの地域で地元産の原料を活かした「桜餅」が作られてきたということでしょうか?ローカル色ならぬローカル食らしい特長があって面白いですね。

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