お米の品種

お米の品種

あなたはお米のブランド名、いくつあげることができますか? 最近のお米売り場は、全国各地から届けられたさまざまな銘柄のブランド米が所せましと並んでいます。どれを買おうか、迷っちゃいますね。日本は1年間で30種類以上の新しい銘柄が登場するお米のブランド王国。お米が主食の日本だからこそ、これだけのブランド米が誕生するのです。


ブランド米には、続々スターが誕生中。

品種改良には長い年月がかかります。

日本で品種登録されているお米は全部で594種類、主食用とされているものに限っても260種類もあります。(※1)

お米の品種改良は、異なる特性を持つイネを人工的に掛け合わせ、優れた品質のお米が実る種ができるまで何世代も交配を繰り返す根気のいる作業です。日本人なら誰もが知っているブランド米「コシヒカリ」も昭和19年(1944年)に「農林1号」と「農林22号」という品種の交配から始まり、12年後の昭和31年(1956年)にようやく「コシヒカリ」というブランド名を持つ品種になったという長い歴史を持ちます。

コシヒカリが生まれるまでには12年かかっている

最近では人工交配だけではなく、優れた特性を生み出す遺伝子の組み合わせを研究するゲノム解析によって、品種改良のスピードアップが図られていますが、それでも一つのブランド米が完成するまでには平均10年近くかかると言われています。

  • ※1:2014年度末現在で、水稲(水田で栽培されるもの)に限った数字です。

ブランド米のスターは「コシヒカリ」一族。

現在日本で一番多く生産されているブランド米は「コシヒカリ」です。「コシヒカリ」から生まれた品種である「ひとめぼれ」「あきたこまち」「ヒノヒカリ」も合わせると、日本で生産されるお米の実に約50%が「コシヒカリ」一族の品種ということになります。(※2)

日本で生産されているお米の品種割合

「コシヒカリ」の人気の秘密は、炊きあがったごはんが持つ粘りの強さにあります。これは「コシヒカリ」の米つぶに含まれるアミロースと呼ばれるでんぷんが他のお米に比べて少ないせいです。アミロースはパラパラした食感を生み出す性質を持つでんぷんですから、これが少ないと粘り気が強くふっくらしたごはんになるのです。アミロースが少ないと言っても他の品種との差はほんの数%に過ぎません。でもその数%の差が、ブランド米の地位を決定づけるのです。(※3)

  • ※2:農林水産省「平成27年度の水稲の銘柄別検査収量」のデータです。平成28年度では約60%になっています。(編集部追記)
  • ※3:うるち米に含まれるアミロースは17~23%で、「コシヒカリ」は平均19%と言われています。冷めても硬くなりにくい特性を持つ「ミルキークイーン」などの低アミロース米では3~17%しか含まれません。

ブランド米だから、ネーミングも大事。

昔は新しい品種ができても「陸羽132号」などのように堅苦しい名前で呼ばれるだけでしたが、市場でブランド米が重視されるようになると新品種のネーミングが重要視されるようになってきました。

名前を付けるためのルールは以前からありました。県の農業試験場が独自開発した品種はひらがな、国または国が指定した試験場で開発した品種はカタカナにするというものです。
でも最近はこのルールも緩和され「ひとめぼれ」のように国が開発した品種でもひらがなという例も出てきました。

ブランド米でも「あきたこまち」のように秋田原産でも多くの県で栽培される品種もあれば、「ななつぼし」のように北海道以外では栽培されない品種もあります。
全国に広がるブランドにするか、地域限定の希少価値を採るか、ブランドに対する開発者たちの考え方の差がうかがえます。

ルーキーも続々デビュー中です。

2016年産でデビューする主な品種銘柄米

銘柄産地主な特徴
ゆきさやか北海道出穂後の気温変化に影響されにくく、味が安定している
あさゆき青森県粘りが強く、もち米に近い
銀河のしずく岩手県粘りを抑えている。冷害に強い
新之助新潟県さめてもかたくなりにくく、味が落ちない
縁結び岐阜県病気に強く、茎も太く丈夫
ふくのいち静岡県コシヒカリの約1.5倍の大きな粒
なつほのか鹿児島県高温に強く、収量も多い

毎年公表される「米の食味ランキング」はブランド米の人気を左右する格付けとして関心を集めるようになりました。(※4) 全国各地の米生産者が丹精込めて作ったブランド米がおいしさを競っています。ここで最上位の「特A」評価を得ればブランド米としての知名度がぐっとアップして、売上にも大きな影響が出ると言われます。

「特A」常連の「コシヒカリ」ファミリーばかりではなく、新顔も続々登場しています。2016年度には農産物検査法に基づく「産地品種銘柄一覧」に32銘柄が新たに登録され、お米の世界では新人のデビューブームが続いています。
コシヒカリの後継として期待される新潟の「新之助」、冷害に強い品種として開発された岩手の「銀河のしずく」、温暖化に備えて高温に強い鹿児島の「なつほのか」など、期待の新顔が続々デビューです。

  • ※4:日本穀物検定協会が公表するランキングで、「特A」から「B‘」まで5段階で評価されます。
    平成28年度に「特A」評価を受けた銘柄は141銘柄44銘柄でした。品種で数えると特Aランクは21品種 で過去最多となりました。

最近の人気は「もっちり」「甘い」お米たち。

炊き上がったごはんの味わいはブランドごとに異なります。単に粘りの違いだけではなく、炊きあがりの香り、見た目、硬さ、うまみ、甘み、食感、のどごしなど、言葉では表せない微妙な違いがあるようです。
最近では、「しゃっきり」「さっぱり」系のお米よりも、「もっちり」「甘い」系の「ゆめぴりか」や「つや姫」といったブランドが注目を集めているようです。これは、品種改良により、総合バランスがとれてさらに食味が優れたブランドが登場してきているためです。

これだけ多くの品種のお米が手に入るのは世界中でも日本だけです。毎日食べるごはんですから、たまにはいつものブランドとは違うごはんを炊いて、食べ比べてみると、新しい発見があるかもしれませんよ。

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